イトウ保護連絡協議会

Japanese Huchen Conservation Network

陸上自衛隊矢臼別演習場の砂防ダム問題

第20回別寒辺牛川水系トライベツ川スリットダム

第11回風蓮川水系玉川流域第1号ダム・楓沢流域第2号ダム視察報告

視察日:2015年8月14日(金)
天 候:晴
参加者:11名(内報道1名)
目 的:矢臼別演習場内のトライベツ川、玉川・楓沢各スリットダムについて現況確認を行った。トライベツ川はダムの下流域の横工の撤去後の状況、玉川・楓沢は下流の砂州及び川の流れに注目した。今回は、夏場の植生調査を行なった。


▼トライベツ川スリットダム

(左)岸側から見たダム下流 (左下)ダム堤から上流域を見る
(右)トライベツ川スリットダム周辺の植生図。クリックで拡大します


トライベツ川スリットダム堤体直下流域の景観の経年変化(ダム堤上から定点撮影)
写真をクリックすると当時の報告ページにジャンプします。

2011年8月 トライベツ川スリットダム(2011)
2012年8月 トライベツ川スリットダム(2012)
2013年8月 トライベツ川スリットダム(2013)
2014年8月 トライベツ川スリットダム(2014)
2015年8月 トライベツ川スリットダム(2015)

▼玉川流域第1号スリットダム

玉川流域第1号スリットダム ダム堤から下流を見る。
玉川流域第1号スリットダム ダム堤の左岸側から下流を見る
玉川流域第1号スリットダム ダム堤から上流を見る
玉川流域第1号スリットダム 本流を形成しつつある左岸の流れ
玉川流域第1号スリットダム 周辺の植生図。クリックで拡大します

▼楓沢流域第2号スリットダム

楓沢流域第2号スリットダム 下流からスリットダムを見る
楓沢流域第2号スリットダム ダム堤から下流を見る
楓沢流域第2号スリットダム ダム堤から上流を見る
楓沢流域第2号スリットダム 楓沢流域第2号スリットダム周辺の植生図。クリックで拡大します

神田房行(北海道教育大学名誉教授、道東のイトウを守る会代表)
「トライベツ川砂防ダム、風蓮川支流玉川流域第1号砂防ダムおよび楓沢流域第2号砂防ダムの上・下流域の植生 ―2015年夏の調査―」


▼まとめ

トライベツスリットダムの上流は良好な状態を保っている。下流は横工が撤去され、5月の視察時より河川の真ん中に本流が形成されている(F→G→H)。下流中央のF点より左岸側に流れていた細い流れも、殆ど止水状態で土砂堆積により止まると思われる。右岸側のため池状態も、将来的には植物の侵入により解消されると思われる。極めて少なかったカワシンジュガイが多数確認できた。

玉川流域第1号スリットダムは、下流にできた湾曲方の堆積土砂は現状を維持している。右岸側に水草が繁茂し、水の流れはほぼなくなっており、来春には止まると思われる。左岸側は、勢いよく水も流れており本流が形成されてきている。上流は安定。楓沢流域第2号スリットダムは、上下流共に安定している。

トライベツでは、カワシンジュガイの生体が多数確認され、玉川・楓沢では、魚種は不明だが9~13cmの魚影を多数確認できた。

3河川ともに、イトウの生息環境として良くなってきている。

道東のイトウを守る会

植生報告:神田 房行
作図:元内 孝義
写真:飯田 弘己
文責:田中 正