イトウ保護連絡協議会

Japanese Huchen Conservation Network

2008年3月7日

北海道知事 高橋はるみ様

イトウ個体群の保護管理に関するご提案

イトウ保護連絡協議会
釧路自然保護協会/猿払イトウの会
/斜里川を考える会/朱鞠内湖淡水漁業協同組合
/尻別川の未来を考えるオビラメの会/ソラプチ・イトウの会
/道東のイトウを守る会/十勝のイトウを守る会
/別寒辺牛川流域イトウ保護連絡協議会
/遊楽部川の自然を守る会(あいうえお順)
本提案書に関する窓口
江戸謙顕 edo@bunka.go.jp


拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

 私たちイトウ保護連絡協議会は、道内各地のイトウ個体群の生息地で、この魅力あふれる淡水魚の保護管理活動に取り組んでいる上記10団体からなる連合体です。貴職はこのたび、野生イトウ個体群の保護管理に向けて、積極的な施策計画をご提案されました。当協議会一同、このお取り組みをたいへん頼もしく受けて止めているところです。また、施策案に対する当協議会の意見にこのように真剣に耳を傾けてくださり、深く感謝申し上げます。

 さて、私たちの唯一の願いは、貴職によるこのイトウ保護管理施策が最大限の効果を発揮し、一刻も早く各地のイトウ個体群が絶滅の危機を免れ、かつてのような健全な状態を取り戻すことです。この目標をかなえるために、ささやかながらこれまで長く各地で活動してきた経験・経緯を踏まえ、以下に数点のご提案を申し上げます。なにとぞご勘案いただき、絶滅危機種イトウのためにいっそうのご尽力をいただきますよう、心よりお願い申し上げます。

ご提案

1 効果ある「イトウ釣り規制」のために

 貴職ご提案の「全道一律に4、5月のイトウ釣り自粛要請」をそのまま実施した場合、地域によっては、既存の自主的釣りルール(イトウ資源保全を目的とし、成果を上げてきたもの)と矛盾を生じてしまいます。また自然的・社会的事情から、地域によっては、必ずしも産卵親魚保護の効果を期待できません(別紙参照)。各個体群の生息地ごとに、どのような「イトウ釣り規制」が真に効果的なのか、さらに検討が必要と考えられることから、当協議会を含め、地元住民、釣り人、研究者らを交えての協議と合意形成の場を設けていただくようご提案します。

2 地域ごとの保護管理のために

 本道のイトウ個体群の「健康度」には生息地によって大きな差があり、保護管理のためには各水系の事情をきめ細かく反映させた個別の対策が必要です()。またこれら対策に実効性を与えるには、北海道希少動植物保護条例などの法的根拠が大きな力になりえます。これらを実現する場として、生息地域ごとに当協議会や住民、釣り人、研究者らと貴職が協議しながら合意形成を図る新しい枠組みの設置をご提案します。

3 生息地保全のために

 イトウ保護管理のためには、イトウ釣りの規制のみならず、生息地の保全・復元がきわめて重要です。この観点から、各個体群が生息する水系近辺での産業振興・開発行為に留意し、また河川管理者・森林管理者などとの協議体制を強化するなど、きめ細かなイトウ保護管理を実施できる仕組みの創設をご提案します。

以上


2008年3月20日「イトウ保護についての関係団体との意見交換会」