別寒辺牛川水系トライベツ川スリットダム秋季視察報告
視 察 日:2007年10月21日
参 加 者:24名(イトウ保護連絡協議会総会後の視察参加者の参加を得ました。)
目 的:矢臼別演習場内の別寒辺牛川水系トライベツ砂防ダムのスリット化後、冬季・夏季に続き、秋季視察による現況確認を行った。
▼トライベツ川スリットダム
下流側からダムを見る。前日の大雨で、水量が多い。右の山は魚道を覆土し、芝張ったもの。 | 下流のもともとの川。入口。水温9℃。 | スリット下流側。8月の視察では、土砂が堆積していたが冠水している。 |
水深45・60cmと深くなる。 | 最も深いと思われる所。水深70cmぐらいか。8月の時より30cm近く深い。 | ダムサイトから上流を見る。 下流と異なり8月との変化はない。 |
上流域。水温9℃。前日の大雨で水量は多少増しているが、水に濁りはない。河床も安定している。 | いわなの稚魚か? 手ですくえた。 |
▼トライベツダムスリット化後の植生回復
写真1 ダム下流の様子。 | 写真2 ダムの上流の様子。 |
写真3 イの群落。 |
写真4 木本類が既に成長していた。これはヤチハンノキが大部分であった。 |
2007年10月21日、12:00頃から13:30までトライベツ川のスリット化後のダム周辺の視察を行った。ダム下流では、前日の雨のせいもあり殆ど水没して、大きな水たまりができていた(写真1)。水たまりの中のダム側に僅かに植物があったが、牧草の類であろうと思われる。
これに対して、ダム上流側(写真2・4)では大きな水たまりは見られず、スリット化前に水が溜まっていた所には幅2・3mの水路ができ、大部分は湿地か草地になっていた。ダムがなければ自然河川とその周辺の植生の姿である。スリット化から1年と経っていないのに植生の回復の早さに驚いた。写真2の水路に向かって右側は泥地となっており水分含量が相当高かった。泥地の植生はイ(写真3)が主なものであった。写真2の、向かって左側の部分は砂地でやや乾燥しており、クサイ、ハリコウガイゼキショウ、スゲ類にクサヨシが混じった群落であった。
興味深かったのは写真2の右側の端に見える木本類である。既に1m位に成長していたことである(写真4)。調べたところこれは大部分がヤチハンノキで、僅かにケヤマハンノキが混じっていた。
▼まとめ
今回は、8月と異なり、前日に激しい降雨があり、ダム下流は冠水していた。上流は、8月と水深もさほど変化なく、水も澄んでいた。上流域の自然環境が豊かで安定しているためと思われる。また、今回は、神田房行先生(北海道教育大学釧路校生物学教室教授)に同行いただき、植生について調べていただいた。
最後に、休日でありながら、演習場立入を許可していただいた別海駐屯地業務隊長に感謝申し上げます。さらに、業務隊・厚岸町役場建設課の皆様にご同行いただき感謝申し上げます。
文責:田中明子
写真:飯田弘己
植生文責:神田房行