第4回別寒辺牛川水系トライベツ川スリットダム視察報告
視察日:2008年5月20日
天候:雨
参加者:12名
目的:矢臼別演習場内の別寒辺牛川水系トライベツ砂防ダムのスリット化後の現況確認を行った。特にダム堤下流の現況に注目した。
▼トライベツ川スリットダム
川幅:上流3m
水温:上・下流とも9℃
水深:上流8~46cm下流17~24cm
魚類:釣具を使ったところ、下流でウグイ・アメマス・オショロコマ
ダム堤から上流を見る。河道がしっかりと形成され、川底は泥ではなく、粒径のやや大きな礫で覆われている。 | 上流域に横工を施工しなかった為、安定した自然河川ができつつある。 | ダム堤から下流を見る。下流には横工(川底から高さ30cm)が2箇所ある。 |
正面が魚道跡。左がスリット。堆積土砂に植物が進入している。 |
下流からダムを見る。流路は、左岸と右岸に沿って形成されている。 | 前回視察では、大きな浅い水溜りであったところには、砂が堆積している。 |
横工の下が掘れていて、川水は左右の岸に沿って横工をくぐって流れている。 | 左右の水路を横断する流れはあまりなく、あっても水深5~6cmと極めて浅い。 | 流路は流域中央部の堆積砂で分断されている。よって、横工がイトウなどの魚類の遡上や下降を妨げている。 |
▼まとめ
ダム周辺の植生図(クリックすると拡大します) |
降雨にもかかわらず、水量は少なめだった。上流域は、昨年8月・10月の視察時と大きな変化はなく、河道も安定し、大きく蛇行している。植生も湿地性と他の草木が入り安定している。上流域は、横工を施工しなかったことで本来の自然環境を取り戻しつつあると思われる。
一方下流域では、昨年まで川筋がなく、横工を含めた全域が浅い池のような状態だった。今回は、左右両岸に流路が形成されているものの、横工施工時には、2箇所の横工の間を蛇行して川筋が形成されると予期していた部分に砂が堆積して、流路が分断されてしまった。スリット化により、上・下流の河道は取り戻したが、下流域の横工によって、再度塞がれたことになる。イトウをはじめとする魚類の遡上・下降ができない状態にあることから、早急に、横工の撤去を求めたい。
横工がなければ、上流域と同様1本ないし2本の河道が自然に形成され、堆積砂には植生が戻り安定するものと思われる。
次回視察は、8月18日を予定している。
道東のイトウを守る会(文責:田中明子、写真:飯田弘己、作図:元内孝義)