イトウ保護連絡協議会

Japanese Huchen Conservation Network

陸上自衛隊矢臼別演習場の砂防ダム問題

第6回別寒辺牛川水系トライベツ川スリットダム視察報告

視 察 日:2009年5月25日
天  候:曇一時雨
参 加 者:8名

目  的:矢臼別演習場内の別寒辺牛川水系トライベツ川スリットダムの現況確認を行った。特に河道の動き、土砂の動きに注目した。

トライベツスリットダム トライベツスリットダム トライベツスリットダム

ダム堤から上流を見る。河道は安定的に形成されている。川底は、粒径のやや大きな礫でおおわれている。初めてバイカモを確認。

さらに上流。

左岸側。去年まで流巾があった所は、植生で覆われていた。所々で湧水がある。

トライベツスリットダム トライベツスリットダム

ダム堤から下流を見る。2日前の大雨で水量が多かったためか、下流域全般に冠水している。水の流れが分散しているため、本流と見ていた左岸の流れが、水量も少なく、水深も予想より浅かった。

左岸。魚道跡の水没していたコンクリート基礎は土砂で埋め尽くされていた。

左岸下流の横工は撤去され、右岸側の開口部分に移設されている。
横工全般、水の流れが自由になっている。

トライベツスリットダム トライベツスリットダム トライベツスリットダム

下流からダムを見る。
右奥が魚道跡。左岸側が本流を形成しているが、川巾が狭い。

下流では、カワシンジュガイを数個確認。 釣具を使ったところ、ヤマベ一匹・アメマス多数。自然河川の蛇行部分で2ヶ所土砂が乗り上げている。

ダム堤2ヶ所で亀裂があった。

トライベツスリットダム調査表 (図面をクリックすると拡大します)

▼調査年月日:2009年5月25日
▼天気:曇一時雨

調査地点 水温 水深 川幅 備考

植生図

 

A1 9 40 300  
A2 9 20 260 バイカモ
A3 植生
A4 9 4 200  
B1 9 72 200  
B2 土砂堆積
B3 土砂堆積
B4       冠水カワシンジュガイ
B5 9 39    
B6 9 41    
B7 9 36   横工巾2m撤去
B8 9 34   横工巾2m撤去
B9 9 42 310 ヤマベ・アメマス
B10 9 9   冠水
B11     冠水
B12     冠水
B13     冠水 横工移設
B14     冠水 横工移設

▼まとめ
去年までの視察では、下流は、左岸の横堤に沿って本流が形成されていた。
今回の視察で、本流はやはり左岸側であるが、水量が多く流れが分散していた。
水没しているコンクリート基礎に当たった水流は、旧魚道口閉鎖部分に土砂を堆積させ、コンクリート基礎を埋めつくしている。堆積土砂に当たった流れは、大きく3本に分かれ、中ほどの横工で左右両岸の流れに合流している。
上流域では横工が設置されず、植生が早期に回復し、水路も安定的に形成された。このことを見れば、下流域の水流が分散し、冠水状態が続くようであれば、流路の安定化、植生の回復は程遠い。
下流域に対しては、人為的に、水路を左岸沿いに導くことも考える必要があるのではないか。当会としては、議論を重ね、北海道防衛局に提言していきたい。
次回視察は、2009年8月14日前後を予定している。

道東のイトウを守る会(写真:飯田弘己、作図:元内孝義、文責:田中明子)