第16回別寒辺牛川水系トライベツ川スリットダム
第8回風蓮川水系玉川流域第1号ダム楓沢流域第2号ダム視察報告
視察日:2014年5月21日(水)
天 候:雨
参加者:8名(内報道1名)
目 的:矢臼別演習場内のトライベツ川、玉川・楓沢各スリットダムについて現況確認を行った。トライベツ川は、特にダムの下流域の河道の現況に注目した。
▼トライベツ川スリットダム
トライベツ川スリットダム現況図。クリックで拡大します。 |
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ダム堤から上流を見る。 | 今年の下流中央の流れ。 | |
下流にあった旧魚道基礎コンクリートを覆っていた土砂が下流に積み上げられた。 | 2013年5月の下流中央の流れ。 | |
下流からダムを見る。 | 横工がなくなることにより川の流れがスムーズにいくと思われる。 |
▼玉川流域第1号スリットダム
玉川流域第1号スリットダム現況図。クリックすると拡大します。 |
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下流からスリットダム見る。現在は、左岸の流れが主流となっている。 |
ダム堤から下流を見る。 |
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上流。 | ダムを挟んで。 |
▼楓沢流域第2号スリットダム
楓沢流域2号スリットダム現況図。クリックすると拡大します。 |
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下流からスリットダムを見る。 |
ダム堤から下流を見る。昨年9月の低気圧により洗掘現象が起きていた。 | |
上流。 | コンクリート流路が切れた所に堆積した土砂。 |
▼まとめ
トライベツスリットダムの上流は河道も安定し、植生も密生しており良好な状態になっています。しかし、下流については、未だに安定していません。昨年の爆弾低気圧の影響により、ダム直下が大きくえぐりとられ、土砂は下流に大きな山となって堆積し、左岸の流れは完全に止まっています。土砂で覆われていた旧魚道コンクリート基礎部分が見えるようになりました。ダムに沿って右岸に流れていた水量は少なくなっており、本流は、スリットより中央部に流れ、横工に沿って左折して左岸の横堤より下流の流れ出しに向かっているが、流れの一部は横工の間を通り下流に流れています。
トライベツスリットダムの下流を見ていると、横工が本来の川の流れを阻害しているかのように思われます。横工が撤去されることにより、川の流れはスムーズに行き、右岸に流れ込んでいる水も止まり、現在ある溜まりにも植物が侵入し乾燥していくものと思われます。
今回、北海道防衛局の方々が視察に同行していただき、認識は同じと思われ、秋口までには、何らかの方策を取りたい方向とのことです。とにかく、横工の早期の撤去が必要です。後は、自然の成り行きに任せるのが一番ではないでしょうか。
玉川流域第1号スリットダムについてですが、昨年、下流にできた湾曲方に堆積土砂は現状を維持しており、右岸側に流れが形成されると思われていたのですが、右岸は土砂も堆積し植物も浸入し流れが小さくなり、左岸側に本流が形成されつつあります。上流は土嚢がすっかり埋没し、流れが安定しています。魚種は不明ですが稚魚も見られました。
堆積土砂の前にある水深2m程の大きな水たまりは残っていますが、川の流れには影響ないようです。
楓沢流域第2号スリットダムですが、トライベツ同様昨年の秋の爆弾低気圧の影響により、ダム直下のコンクリート水路が切れた所に土砂が堆積し、川が蛇こうするようになっていました。最下流は、自然に蛇こうした流れとなっており安定しています。また、上流域も春の増水期であるということだけで安定しています。
昨年春の洗掘現象。そして、秋の爆弾低気圧と大きな自然現象が起きていますが、川はそれにおくすることなく流れています。当地のような自然度の高い環境においては、流れに任せるのが一番なのでしょう。人が手を加えていいことはないのだということを。
さて、矢臼別演習場・風蓮川水系土砂対策等検討委員会では、3月末に最終報告書を出し、委員会を閉じました。今後は、委員会の報告書に則り北海道防衛局が推移を見守るのでしょう。当会は、今後も、イトウの生息にとってどのような状況がいいのか視察を重ね考えていきたいと思います。
植生報告:神田 房行
作図:元内 孝義
写真:飯田 弘己
文責:田中 正
「矢臼別演習場・風蓮川水系土砂流出対策等に関する最終調査報告書の公表について」(平成26年4月16日、北海道防衛局、別海町)pdf、14MB
北海道防衛局のサイトからもダウンロードできます。