イトウ保護連絡協議会

Japanese Huchen Conservation Network

陸上自衛隊矢臼別演習場の砂防ダム問題

第17回別寒辺牛川水系トライベツ川スリットダム

第9回風蓮川水系玉川流域第1号ダム楓沢流域第2号ダム視察報告

視察日:2014年8月5日(火)

天 候:晴れ

参加者:9名(内報道1名)

目 的:矢臼別演習場内のトライベツ川、玉川・楓沢各スリットダムについて現況確認を行った。今回は、夏場の植生調査。トライベツ川はダムの下流域の河道の現況、玉川は下流の砂州及び川の流れに注目した。


▼トライベツ川スリットダム

トライベツ川スリットダム トライベツ川スリットダム トライベツ川スリットダム現況図

トライベツ川スリットダム現況図。クリックで拡大します。

神田房行「トライベツ川砂防ダムの上、下流域の植生遷移」

ダム堤から上流を見る。 下流からダム堤を見る。
トライベツ川スリットダム トライベツ川スリットダム
2011年8月 2012年8月
トライベツ川スリットダム トライベツ川スリットダム
2013年8月 2014年8月

 

▼玉川流域第1号スリットダム

玉川流域1号スリットダム 玉川流域1号スリットダム 玉川流域1号スリットダム現況図

玉川流域第1号スリットダム現況図。クリックすると拡大します。

神田房行「風蓮川支流玉川流域第1号砂防ダムの上・下流域の植生」

ダム堤から下流を見る。左岸側に流れができる。 下流からダム堤を見る。
玉川流域1号スリットダム 玉川流域1号スリットダム
下流から右岸の流れを見る。 下流から左岸の流れを見る。
玉川流域1号スリットダム  
ダム堤から上流を見る。

▼楓沢流域第2号スリットダム

楓沢流域第2号スリットダム 楓沢流域第2号スリットダム 楓沢流域2号スリットダム周辺現況図

楓沢流域2号スリットダム現況図。クリックすると拡大します。

神田房行「風蓮川支流楓沢流域第2号砂防ダムの上・下流域の植生」

下流からスリットダムを見る。
楓沢流域第2号スリットダム
ダム堤から上流を見る。
ダム堤から下流を見る。

▼まとめ

 トライベツスリットダムの上流は良好な状態を保っているが、下流は未だ安定せず。ダム直下にあった旧魚道のコンクリート壁は土砂で完全に埋まり、流れ出した土砂はその下流に砂山となり堆積。左岸の流れは完全に消滅した。ダム直下の右岸側への流れも水草の繁茂により流れが細くなり、流れは止まっていくと思われる。下流の本流形成にはやはり横工の撤去が必定。演習が終わり次第撤去とのこと。結果が楽しみである。

また、新たな発見として、調査地点Mで湧水を発見。直径15cm、深さ22cmほどである。

玉川流域第1号スリットダムは、昨年、下流にできた湾曲方の堆積土砂は現状を維持しているが、右岸側に水草が繁茂しその流れは水量が少ない。左岸側は、水量も増し流れもしっかりしており本流が形成されてきている。上流は安定。

楓沢流域第2号スリットダムは、上下流共に安定している。

3河川ともに、イトウの遡上には問題はないと思われる。洗掘現象など自然の猛威はすごい。しかし、川は流れている。春の視察でも感じたが、人が手を加えるべきではない。まかせればいいのである。トライベツの横工の撤去が楽しみである。トライベツはどんな顔を見せてくれるのか。

今回も、北海道防衛局の職員の方が、視察に同行してくれた。あらためてお礼を申し上げたい。

道東のイトウを守る会

植生報告:神田 房行
作図:元内 孝義
写真:飯田 弘己
文責:田中 正


「矢臼別演習場・風蓮川水系土砂流出対策等に関する最終調査報告書の公表について」(平成26年4月16日、北海道防衛局、別海町)pdf、14MB

北海道防衛局のサイトからもダウンロードできます。