第24回別寒辺牛川水系トライベツ川スリットダム
第15回風蓮川水系玉川流域第1号ダム楓沢流域第2号ダム視察報告
視察日:2017年8月11日(火)
天 候:雨
参加者:7名(うち報道1名)
▼トライベツ川スリットダム
左岸側から見たダム下流 | |
ダム堤から上流域を見る | 下流から見た本流形成 |
上流側からみた本流 |
ダム堤から下流域を見る(2012年~2017年) | |
2012年8月 | |
2013年8月 | |
2014年8月 | |
2015年8月 | |
2016年8月 | |
2017年8月 |
▼玉川流域第1号スリットダム
ダム堤から下流を見る | 下流からダム堤を見る |
ダム堤から上流を見る | 右岸側の流れは無くなっている |
▼楓沢流域第2号スリットダム
下流からスリットダムを見る | |
ダム堤から上流を見る | ダム堤の左岸側から下流を見る |
トライベツ川砂防ダム、風蓮川支流玉川流域第1号砂防ダムおよび楓沢流域第2号砂防ダムの上・下流域の植生──2017年夏の調査──
道東のイトウを守る会 代表 神田 房行
トライベツ川砂防ダム
トライベツ川砂防ダムに開けられたスリットの効果をモニタリングするためにトライベツ川砂防ダムのスリット化後2007年から継続して調査を行なってきた。2017年度も8月11日(金)に現地調査をな行った。植生調査では2008年8月から通算10回目のモニタリング調査となる。
植生ではダム上流では、河道の両側にますます安定した植物群落が形成されていた。左岸のヤチハンノキとケヤマハンノキは森林化し、樹高8m位になっていた。ヤチハンノキが更に増え、ケヤマハンノキは少なかった。その他、オオカサスゲ、クサヨシ、ハンゴンソウ、クサフジ、ミゾソバ、エゾノレンリソウ、ヒロハドジョウツナギ、イワノガリヤス、ホザキシモツケ、アキノウナギツカミなどが見られた。
ダムの下流では2008年頃から土砂の堆積したところに新たに植物群落が形成され始め、ここ数年更に安定した植生となっており、オオカサスゲ、ヒロハドジョウツナギ、クサヨシ、ヨシ、ミゾソバなどが優占していた。その他水たまりになっているところにはミズハコベが大量に生育していた(写真上)。植生は昨年とほとんど変わらないが、草丈が高く、より安定した植生となっていた。
2014年に下流域の横工が撤去され、中央部を直線的に河川水が流れるようになり、流路がしっかりと安定してきていたが、今回この流路が右岸側に変わってきた。しかし、全体としてダムの上下流ともイトウの遡上環境が良好になってきた(写真下)。
風蓮川支流玉川流域第1号砂防ダム
風蓮川の支流である玉川流域の第1号砂防ダムのスリットは2011年2-3月に開けられた。今回2017年8月11日にスリット化後の7シーズン目の砂防ダムの上・下流域の植生調査を行なった。
下流域ではヨシ、オオカサスゲ、ヒロハドジョウツナギ、ミゾソバなどが優占していた。2014年に増大していた池状の水たまりは小さくなり、左岸側で1本の流路となっておりイトウがより遡上しやすい環境となっていた。上流域は昨年同様に一面のオオアワダチソウ群落となっていた。ダムの近くまで植生に覆われており、流路はしっかりとして、安定していた。
風蓮川支流楓沢流域第2号砂防ダム
風蓮川の支流である楓沢流域の第2号砂防ダムのスリットも2011年玉川と同じ時期に開けられた。ダムの上流はオオカサスゲ、クサヨシ、イヌスギナが見られ、流量は特に変化は見られなかった。下流域ではオオカサスゲ、クサヨシ、ミゾソバなどが生い茂っており、昨年と同じ植生で、ダムの近くまで植生で覆われていた。砂防ダムの上下流域とも現状ではイトウの遡上に問題ないものと思われる。
▼まとめ
トライベツスリットダムの上流は良好な状態を保っている。下流は、2014年に横工が撤去され、河川の真ん中に本流が形成されていたが、この春先の視察において右岸に本流が形成されていたと報告したが、今回の視察においても右岸に本流が形成されており、この状態で安定するものと思われる。左岸側のわずかな流れも消滅していた。右岸側のため池状態も、将来的には植物の侵入により解消されると思われる。
玉川流域第1号スリットダムは、下流にできた湾曲方の堆積土砂は現状を維持している。右岸側に水草が繁茂し、水の流れは完全に無くなっている。左岸に形成されていた本流の流れは変わらずこのままいくと思われる。上流は安定。
楓沢流域第2号スリットダムは、上下流共に安定している。
又、今年はどの川も水量が少なく、コンクリート流路等がダムの上から確認出来た。
3河川ともに、イトウの生息環境として良くなってきている。
植生報告:神田 房行
作図:元内 孝義
写真:飯田 弘己
文責:田中 正