イトウ保護連絡協議会

Japanese Huchen Conservation Network

2015年1月22日

声明
ニジマスなどの外来種放流はやめましょう

イトウ保護連絡協議会

釧路自然保護協会、猿払イトウの会、Friends of Shari River 斜里川を考える会、朱鞠内湖淡水漁業協同組合、尻別川の未来を考えるオビラメの会、ソラプチ・イトウの会、道東のイトウを守る会、十勝のイトウを守る会、別寒辺牛川流域イトウ保護連絡協議会


声明「ニジマスなどの外来種放流はやめましょう」イトウ保護連絡協議会 イトウ(Parahucho perryi)に象徴される北海道の河川生態系にとって、外来種が大きな脅威になっていることが、最近の生態学研究で明らかになってきました。

 たとえば、環境省によって要注意外来生物リストに上げられている北米原産のニジマス(Oncorhynchus mykiss)は、定着先の道内河川において、繁殖期や繁殖場所がイトウと重なるため、両種の間に繁殖をめぐる直接的な競合が起きている可能性が指摘されています[1]。とりわけ絶滅に瀕しているイトウ個体群生息地では、ニジマスとの競合による繁殖率の低下が致命傷となりかねません。

 もとよりニジマスは、国際自然保護連合(IUCN)「種の保存委員会」により『世界の侵略的外来種ワースト100』(http://www.iucn.jp/species/376-worst100.html)や、日本生態学会の『日本の侵略的外来種ワースト100』、また環境省の「要注意外来生物リスト」(http://www.env.go.jp/nature/intro/1outline/caution/)に掲載されるなど、移入先の在来生態系への影響が強く懸念されている生物です。

 分類学上の見直しが進み、最近になって1属1種とみなされるようになったイトウが自然分布する地域は、地球上で北海道と沿海州、および南千島、サハリンだけです。今後、地域個体群のひとつたりとも絶滅させることのないよう、在来生態系にとってリスクの高いニジマスなど外来種の放流はやめましょう。


[1] K. Nomoto, H. Omiya, T. Sugimoto, K. Akiba, K. Edo andS. Higashi, Potential negative impacts of introduced rainbow trout on endangered Sakhalin taimen through redd disturbance in an agricultural stream, eastern Hokkaido, Ecology of Freshwater Fish Volume 19, Issue 1, pages 116–126, March 2010