第15回別寒辺牛川水系トライベツ川スリットダム
第7回風蓮川水系玉川流域第1号ダム楓沢流域第2号ダム視察報告
視察日:2013年8月12日(月)
天 候:雨
参加者:12名(内報道2名)
目 的:矢臼別演習場内のトライベツ川、玉川・楓沢各スリットダムについて現況確認を行った。今回は、夏場の植生調査及び玉川の洗掘現象のその後の状況、トライベツ川のダムの下流域の河道の現況に注目した。
▼トライベツ川スリットダム
トライベツ川スリットダム現況図。クリックで拡大します。 「トライベツ川砂防ダムの上・下流域の植生遷移──2013年度モニタリング調査結果から──」 神田房行(北海道教育大学・釧路校) |
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ダム堤から上流を見る。 | 2011年8月の下流の流れ。 | |
ダム堤から下流を見る。 | 昨年8月の下流の流れ。 |
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下流からダムを見る。 | 魚道あとコンクリート基礎の上の土砂は左岸側の植生とつながっている。 |
▼玉川流域第1号スリットダム
玉川流域第1号スリットダム現況図。クリックすると拡大します。 「風蓮川支流玉川流域第1号砂防ダムの上・下流域の植生遷移──2013年度モニタリング調査結果から──」 神田房行(北海道教育大学・釧路校) |
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下流からダムを見る。堆積した土砂は5月のときと一緒で中央にある。 |
ダム堤から下流を見る。 |
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下流部に堆積した土砂によって溜まりは右岸側に流れを作っていた。 | 上流域(上)。さらに上流(下)。 |
▼楓沢流域第2号スリットダム
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楓沢流域2号スリットダム現況図。クリックすると拡大します。 「風蓮川支流楓沢流域第2号砂防ダムの上・下流域の植生遷移──2013年度モニタリング調査結果から──」 神田房行(北海道教育大学・釧路校) |
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下流からスリットダムを見る。 |
ダム堤から下流を見る。 | |
ダム堤から上流を見る。 | 更に上流。 |
▼まとめ
トライベツスリットダムの上流は河道も安定し、植生も密生しており良好な状態になっている。しかし、下流は大きく変遷しようとしている。左岸側の流れは完全に止まり、魚道のコンクリート基礎の上の土砂は左岸側の植生と連なっている。ダム直下から右岸側に流れていた部分も更に細くなり植生の繁茂ぶりがよくわかる。川の流れは、まっすぐ流れ横工で左に向きを変えさせられ左岸沿いに流れ、一部横工を乗り越えてきた流れと右岸側の流れとで下部で合流している。
植生での報告でもあったが、横工を取り除くことにより、まっすぐに自然な流れになると思われる。また、ダム直下から右岸に行く流れは確かに細くはなっているが、土嚢などを積み、流れを止めることにより、植生の繁茂が早まり右岸側の止水域がなくなると思われる。こうした作業により、イトウの遡上ルートがスムーズに確保されるものと思われる。
玉川流域1号ダムは、春先の洗掘現象により堆積した土砂が中央に残り溜まりを形成しているが、そこから右岸に流れができており本流形成されるのではないかと思われる。今後、注視していきたい。
楓沢流域2号ダムは、水量が少なく水深も全体に浅く水温も高くなっていたが、河道は安定し、状態は良くなっている。
今回も、北海道防衛局の3名の方が、我々の呼び掛けに応じて参加いただき、視察に同行してくれた。あらためてお礼を申し上げたい。視察終了後、玉川ダムの洗掘現象の追跡調査のお願いとトライベツダム下流の流れについて要請書を手渡した。玉川ダムは時間をかけて見ていく必要があるが、トライベツの下流形成は急ぐべきだと思う。同行いただいたことにより問題意識を我々と共に共有いただけたと思うので早期の解決を図っていただきたい。
植生報告:神田 房行
作図:元内 孝義
写真:飯田 弘己
文責:田中 正