イトウ保護連絡協議会

Japanese Huchen Conservation Network

陸上自衛隊矢臼別演習場の砂防ダム問題

平成15年7月31日

イトウ保護連絡協議会 殿

札幌防衛施設局 事業部長

陸上自衛隊矢臼別演習場内の別寒辺牛川支流における砂防ダム建設事業及びその検討委員会設置に対する質問及び要望書に対する回答

(一)について
 「矢臼別演習場・別寒辺牛川水系土砂流出等検討委員会」は、矢臼別演習場内の別寒辺牛川水系流域におけるイトウ等魚類の繁殖及び生息状況を踏まえた魚道機能並びに土砂流出実態を踏まえた下流域における生物への影響について検討を行うことにより、流域の環境保護に配慮した土砂流出対策の資とするための提言を部外の有識者からいただく目的で、札幌防衛施設局と厚岸町が共同で設置したものであり、委員10名及びアドバイザー6名から構成されている。
 委員及びアドバイザーは、本委員会の目的について幅広く議論していただくことを念頭において、土砂流出の専門家、魚類等の生態の専門家、自然環境保護の専門家など、北海道内の方々で地元事情に明るく各専門分野に精通した方々を選定しており、任期は委員会解散までとしている。
(二)について
 検討委員会の討議資料の中には、環境省が平成11年2月18日に作成した汽水・淡水魚類のレッドリストにおいて、近い将来における野生での絶滅の危険性が高い種として絶滅危惧IB類に掲載されているイトウの生息地域等の資料があることなどから、検討委員会の議事については非公開とし、議事要旨を当局のホームページに掲載して公表してきたところである。
(三)、(四)、(十)及び(十一)について
 イトウは、環境省が平成11年2月18日に作成した汽水・淡水魚類のレッドリストにおいて、近い将来における野生での絶滅の危険性が高い種として絶滅危惧IB類に掲載されており、保護のため十分な配慮がなされるべき種であると認識しており、当局としては、矢臼別演習場内の別寒辺牛川支流における土砂流出対策等について、検討委員会における有識者の御意見等を踏まえ、関係機関とも調整しつつ、イトウの保護を始めとする環境保護の観点から、適切に対処する考えである。
(五)、(六)及び(七)について
 本件事業においては、「建設省河川砂防技術基準」に記載されている土砂流出等の算定方法等を参考として、降雨時において流出する土砂量等を算定し、当該算定量に基づき当該ダムの規模を決定しているところである。 いずれにしても、別寒辺牛川支流の土砂流出対策等については、現在、検討委員会において、土砂流出の専門家、魚類等の生態の専門家などの方々に、ご検討いただいているところである。
 土砂量等の資料の提示については、膨大な量となるため、情報公開法に基づく所要の開示請求手続きをとっていただく必要があると考えている。

(八)及び(九)について
 現在、検討委員会において、今後の調査の内容及び期間等について、御検討いただいているところである。
 また、トライベツ川のダムに付置された魚道については、検討委員会を構成する専門家の助言を得て、既にイトウの遡上及び降下調査を実施しているところであり、イトウが魚道を遡上したことを確認している。


(十二)及び(十三)について
 別寒辺牛川支流におけるダムの建設事業に関連して、イトウの繁殖等に関し懸念があるとの指摘がなされたことから、より適切な配慮を行う必要があると考え、厚岸町と共同で、有識者から意見の聴取等を行うこととし、検討委員会を設置したものであり、本検討委員会は当該河川を検討対象としている。なお、演習場に係る風連川支流及び知来別川支流については、ダムの建設に当たり環境調査を実施したところ、イトウは確認されなかった。
 今後、新たなダムの建設の事業を行うかどうかについては、演習場内の土地の形質の変化等を確認し、その建設の必要性等の検討を行った上で、関係機関と調整し、決定することとなるから、現時点では、その建設の事業に関する計画を申し上げることは困難である。
 既に設置したダム関係の資料の提示については、膨大な量となるため、情報公開法に基づく所要の開示請求手続きをとっていただく必要があると考えている。

以上