イトウは今まさに激減し絶滅の危険にさらされています。

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平成20年5月22日

北海道防衛局長 殿

道東のイトウを守る会
代表代行 神 田 房 行
                          

矢臼別演習場内別寒辺牛川水系のイトウを保護するための要望書

 北海道防衛局は「別寒辺牛川水系土砂流出対策等検討委員会」の検討結果を受けて平成18年度にベカンベウシ川の支流トライベツ川の矢臼別演習場内の砂防ダム(トライベツ川砂防ダム)にスリットを設けてイトウ等の魚類の通過を可能にした。このことはベカンベウシ川のイトウがダムを通過してダム上流の産卵適地での産卵を可能にし、ベカンベウシ川でのイトウの生息・繁殖環境を拡大し、イトウの保護に大きな前進となったことを高く評価するものである。

 トライベツ川の砂防ダムのスリットの効果をモニタリングするために「道東のイトウを守る会」ではトライベツ川砂防ダムのスリット化後、2007年2月16日(1回目)2007年8月20日(2回目)同年10月21日(3回目)2008年5月20日(4回目)の4回、現地調査を行った。

 現地調査の結果以下のようなことが判明した。

 砂防ダムのスリット化によりダムの直上流にあった水溜りが消失し、流路が上流から下流に連続的に形成された。ダム上流部は第4回目の調査時点では河道がしっかりと形成され、川底は泥ではなく粒径のやや大きな砂利状の礫で覆われていた。水深は20cm前後、川幅は約3mで、川岸にはハンノキ林も形成されつつあり、安定した自然河川ができつつあることがわかった。「別寒辺牛川水系土砂流出対策等検討委員会」での検討により、上流域に横工を施工しなかったことが、よい結果を出しているように思われる。

 一方、ダム下流域では第3回目の調査までは、川筋がなく、2本の横工を含めた水域が全体として水没して浅い大きな水溜りができていたが、第4回目の調査では、ダム下流域では左岸と右岸に沿って流路が形成されており、水深は20cm前後で、上流域の水路の水深と同様であった。第4回目調査以前には大きな浅い水溜りであったところには砂が堆積し、左右の水路を横断する流れはあまりなく、あっても水深5-6cmの極めて浅いものであった。左右の岸に沿った水路はイトウが遡上するための適当な幅と水深を持っているように思われるが、横工の下が掘れていて、川水は左右の岸に沿って横工をくぐってそれぞれ流れており、その間の流路は流域中央部の砂で分断されている。従って、横工が、イトウなどの魚類の遡上や通過を妨げているものと考えられる。横工がなければダム上流域と同じように1本ないしは2本の河道が自然に形成され、安定した自然河川が形成されるようになるであろうと思われる。

 「道東のイトウを守る会」では、以上のような現地調査結果から、イトウなどの大型の魚類の生息・繁殖環境を確保するためにダム下流部の横工の撤去を早急に行うことを要望する。

 

本要望書に関する連絡先/道東のイトウを守る会事務局

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