イトウ保護連絡協議会

Japanese Huchen Conservation Network

陸上自衛隊矢臼別演習場の砂防ダム問題

2004年3月29日

防衛施設庁長官殿
防衛施設庁札幌防衛施設局局長殿

別寒辺牛川水系砂防ダム事業に関する要望

イトウ保護連絡協議会

構成団体
尻別川の未来を考える オビラメの会(会長 草島清作)
斜里川を考える会(会長 岡崎義昭)
ソラプチ・イトウの会(会長 伊藤行浩)
猿払村商工会青年部(部長 梁田徳雄)
朱鞠内湖淡水漁業協同組合(代表理事組合長 菅原博)
別寒辺牛川流域イトウ保護連絡協議会(代表 石沢元勝)
別寒辺牛川のイトウを守る会(代表 山代昭三)
釧路自然保護協会(会長 高山末吉)
イトウ保護連絡協議会のサイト
 http://homepage3.nifty.com/huchen/itou-net/index.html
要望書窓口 平田剛士(オビラメの会)

 私たち「イトウ保護連絡協議会」は、北海道内の各地域でイトウの保護活動を行なっている団体の連合体です。貴職による別寒辺牛川水系砂防ダム事業について、昨年(2003年)5月、文書で要望と質問をお伝えしましたが、同7月の貴職よりの回答書には「そもそもダム建設の理由は何なのか」という私たちの最大の疑問に対する説明がなく、失望を禁じ得ませんでした。しかしながら、同11月の第3回矢臼別演習場・別寒辺牛川水系土砂流出等検討委員会は、「議事は非公開」とした回答書とは裏腹に、一般傍聴者を受け入れて開かれ、私たちの要望のうちの1項を実現されたことに敬意を表します。以下では、7月の回答書と第3回委員会の内容を踏まえ、いまいちど私たちの要望をお伝えします。失礼ながら、回答は今年4月末日までに文書で上記窓口宛てにお届け下さい。なお、本文書と貴職からの回答書は当協議会ウェブサイトに公開すると同時に、検討委員会の委員とアドバイザーのみなさまにもお届けします。別寒辺牛川をはじめ、絶滅危機種イトウの生息環境の保全のためにどうぞご尽力くださるようお願い申し上げます。

1 いま一度、ダム建設理由の明示を求めます。

 前回回答書では「土砂量等の資料の提示については、膨大な量となるため」情報公開法の手続きを踏めと述べられ、これに従うことにやぶさかではありませんが、そのうえなお、一般国民に向けて建設理由を端的かつ的確に説明する責任が貴職にはあります。一般国民のだれもが理解可能な分かりやすい形での説明をして下さい。

2 未着工ダムの建設中止を決定して下さい。

 すでに建設されたトライベツ川砂防ダム以外の、フッポウシ川砂防ダム・西フッポウシ川砂防ダム等の新たなダム建設計画を撤回し、建設中止を決定して下さい。

3 トライベツ川砂防ダムを撤去し、建設前の環境を復元して下さい。

 トライベツ川砂防ダムがイトウに与える影響を緩和するために、第3回委員会で貴職は同ダム魚道の改良案を提示しましたが、川村洋司委員が「ダムにより上流部の水位が上昇すればイトウ繁殖環境が失われる」と、イトウにとってダム本体自体が最大の障害になっていることを明示されたのをはじめ、複数の委員からダム本体にスリットを入れる、開閉式にするなどの抜本対策をとるべきだという意見が出ました。砂防ダムの設置理由が曖昧ななか、また別寒辺牛湿原の自然環境の貴重性・重要性も鑑みて、一刻も早くトライベツ川砂防ダムを完全に撤去し、適切な方法で建設前の状態を復元して下さい。

4 風連川水系砂防ダムの調査とその結果公表を急いで下さい。

 別寒辺牛川水系における土砂移動の挙動と砂防ダムによる水質汚濁防止効果を把握するために、隣接した風連川水系砂防ダム群における土砂移動挙動とダム効果を調べるべきだと、第3回委員会で新谷融委員長が提案されました。早急に調査を行ない、その結果を公表して下さい。

5 風連川水系ほかの砂防ダムを撤去して下さい。

 貴職よりの回答書で「風連川支流及び知来別川支流については、ダムの建設に当たり環境調査を実施したところ、イトウは確認されなかった」とありますが、どちらの水系でもごく近い過去までイトウが生息していたことは明らかで、貴職による砂防ダム建設が個体群の縮小・絶滅を招いている可能性があります。再度、専門家による調査を早急に行ない、その結果を公表して下さい。

6 議事録を公開して下さい。

 委員会は、委員・アドバイザーからの質問や要望・意見に貴職が回答する形式で進められていますが、貴職ウェブサイトにて公開されている「議事要旨」は、委員・アドバイザーの質問・要望・意見がごく簡略化されて記されているだけで、貴職の回答や説明の部分が完全に欠落しています。委員会報告は、個人のプライバシーとイトウ保護に支障のある部分を除いて、現実に即した議事録の形で公開して下さい。

以上