イトウは今まさに激減し絶滅の危険にさらされています。
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道東のイトウを守る会 殿 矢臼別演習場内風蓮川水系の砂防ダム事業に関する 札幌防衛施設局事業部長
当局は、平成19年4月に有識者等の意見を踏まえて、矢臼別演習場内の風蓮川支流におけるイトウ生息調査について、三郎川流域も含め、現地調査を行ない、その結果、矢臼別演習場内の風蓮川支流においてイトウの生息を確認しました。 当局は、現在、その調査結果の取りまとめを行っているところでありますが、いずれにしても、風蓮川水系における魚介類の保護については、当局としては矢臼別演習場・別寒辺牛川水系土砂流出対策等検討委員会での検討結果及び今回のイトウの生息調査の結果等を踏まえつつ適切に対応してまいりたいと考えており、現時点において、第三者機関を設置することは考えておりません。 以上 防衛施設庁札幌防衛施設局長殿 矢臼別演習場内風蓮川水系の砂防ダム事業に関する質問書 道東のイトウを守る会(代表 小林聡史) 私たち「道東のイトウを守る会」が所属する『イトウ保護連絡協議会』は、北海道内の各地域でイトウの保護活動をおこなっている10団体の連合体です。貴職による別寒辺牛川などの砂防ダム事業にこれまで6度(2003年5月、2004年3月、2005年3月、同10月、2006年9月、2007年3月)にわたり、要望書及び質問書をお届けして参りました。 この間、別寒辺牛川における砂防ダムの効用(下流域での濁水防止効果)と、自然環境に与える悪影響を再検討の上、貴職はダムがほとんど無効なことを認められ、絶滅危惧種イトウの繁殖を妨げないよう、未着工だったダム計画を撤回し、すでに完成したダム1基の堤体に隙間(スリット)を新設されました。貴職のイトウ保護に対するご理解と真摯なご対応に改めて敬意を表したいと思います。 2006年5月から7月にかけて同演習場内の風蓮川水系においても専門家によりイトウの繁殖が改めて確認されました。同年5月には「国際自然保護連合(IUCN)」により、イトウはレッドデータの中でも最も絶滅の危機の高い種(CR)のひとつに指定されています。風蓮川水系では1980年代後半からこれまでに既に
15基の砂防ダムが設置され、本種風蓮川個体群に極めて重大な悪影響をもたらしており、別寒辺牛川の事例よりも事態は深刻です。同一演習場内の本種生息地を脅かす砂防ダムに対して、一方だけ放置し続けることは著しく整合性を欠きます。いくつかの支流では既に支流レベルの本種個体群の絶滅が進行しており、早急に対応しなければ、風蓮川水系のイトウは絶滅してしまうでしょう。風蓮川水系のイトウ保護のために一刻も早く本種の生息・繁殖環境の復元などの対応をしていただくよう、以下の項目について質問いたします。尚、今年8月27日までに文書で上記窓口宛に、本質問に対するご回答をお届け下さい。また、情報共有の観点から本文書と貴職からの回答書は、イトウ保護連絡協議会ウェブサイトに公開いたしたいと考えます。風蓮川水系の絶滅危惧種イトウの生息環境保全のために、どうぞ、一層ご配慮いただくようにお願い申し上げます。 (一)三郎川流域第6号ダムの計画撤回、作業用道路の植林、湿原への土砂流出防止対策を行い、自然復元を実施して下さい。 協議会の要望書に対する札幌防衛施設局事業部長の2006年12月21日付け回答によれば、演習場内の風蓮川支流において、「イトウの生息を過去に確認したとされる場所の確認を行った4河川について、平成19年度のイトウが遡上する時期等に、有識者等の意見を踏まえて調査を行いたいと考えており、また、三郎川流域第6号ダムその他の地域についても、必要があれば、調査対象に加えることを考えております」とのことでした。本年度は実際に、これまでイトウが確認された支流のみならず、本種が繁殖する可能性がある風蓮川水系及び三郎川全河川において改めて専門家による綿密な生息状況調査が実施されているものと考えます。 また、同年12月には三郎川第6号ダムに関して、環境調査のため2007年度建設費計上を見送られたと報道されました。当会としても11月に建設予定現地視察を実施し、演習場内で砂防ダムが建設された地は本来このような湿原の姿を留めていたはずであると確認いたしました。また、今後この地に砂防ダムを建設する必要性に関しては否定的にならざるを得ません。 調査結果を踏まえ、イトウ保護のためにも三郎川流域第6号ダムの計画を是非撤回して下さい。また、既存の作業用道路には植林を行うとともに、湿原への土砂流出防止対策を行い、着工前の自然の姿へと自然再生事業を実施してください。 (二)風蓮川水系の砂防ダムについて「矢臼別演習場別寒辺牛川水系土砂流出対策等検討委員会」に準ずるワーキンググループを設置し、イトウの保護対策を実施して下さい。 以上 |
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